ストーリーを作れるだけじゃダメ|20枚シナリオの書き方事講座

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第2回:”一本道のストーリーを作れるだけじゃダメ?”

■小説や映画のシナリオと、ゲームのシナリオとは、どこが違うと思いますか?

前回、ゲームはそのジャンルやシステムに応じてストーリーの表現方法が違うことについて説明しましたが、それはあくまでそのゲームが採用しているシステムによる制約だ、ということも同時にお話し致しました。
どのようなシステムであっても、ストーリーの基本形は変わりません。何をどう表現するかの違いはあっても、それが物語であるという一点においては、どのようなゲームにおいても、そこにストーリーが存在する以上、それ自体の基本に違いはないのです。



それじゃあ、小説や映画のシナリオとゲームのシナリオに違いはないのか……と言えば、実はそうでもありません。ゲームには他のメディア=小説や映画とは決定的に異なるいくつかの要素があるのです。
では、何がどう違うのでしょうか?

1)ゲームのストーリーは分岐する

■小説や映画のストーリーの最大の特徴のひとつは

それが常にリニア=直線的な構造をしている、ということです。
無論、物語の展開上、その場面を見ている視点(小説で言うなら一人称の主体)が変わる場合もありますし、まったく違う場所を舞台とした場面が連続的に描かれることもあります。
ですが、それはあくまでストーリー上の展開においての変化です。例えば小説や映画で語り手の視点変更があったとして、それはいつも同じページで、あるいは同じタイミングのカットで変更されますよね? 読む度に、あるいは観る度に異なるタイミングで視点の変化が起こるということはありえません。いつも必ず同じページで、同じタイミングで同じストーリーの変化が起こる。




これが小説や映画の特徴……即ち、リニアな構造なのです。



ゲームのシナリオでは、しばしば分岐が発生します。
通学道を進んでいったらT字路に突き当たった。右に進むか、左に進むか……ここで分岐が生じます。(大抵の場合)主人公=プレイヤーはここで右に進むこともできるし、左に進むこともできます。そして、右を選択すれば次の角でトーストをくわえた女の子とぶつかり、左に向かうと苦手な犬が物凄い声で吠えていて……。
こんな風に、ゲームのストーリーは分岐することによって、ノンリニアな=直線的ではない展開を見せます。勿論、選択した結果としてのストーリーを後からつないで見れば、それは物語の基本通り、必ずリニアな構造になるのですが、プレイをしているリアルタイムの視点から捉えた場合、それは常に枝分かれし、変化する可能性をはらんだ、非常に非直線的なストーリー構造となるのです。

2)ゲームのストーリーはループする

■そのゲームが良いゲームであるかどうかを図る基準のひとつとして

リプレイ性を上げることができるでしょう。リプレイ性とは、一旦クリアしたゲームをもう一度(あるいは何度でも)プレイさせる動機や求心性の高さのことです。ゲーマーの言葉を借りるなら、やりこみ要素ですね。
1回プレイしただけではゲットできないアイテムやスキル、初回プレイでは発生しないイベントや隠しダンジョン、隠しボス等など……ゲームが主体的に遊ばれる『遊び』である以上、何度でも遊べる玩具のように、いくどでもプレイしたくなる理由の多いゲームは良いゲームと言えるのです。



このことは、単に『遊び』としてのゲームのみならず、『鑑賞する』……つまりストーリーを楽しむためのゲームにあっても同じであると言えます。
初回のプレイでは見なかった場面、登場しなかった選択肢、登場人物など……小説は何度読んでも同じ登場人物、同じ場面しか存在しないのに対し、ゲームにおけるストーリーには、周回することで大きく変化するものがあるのです。

3)分岐したり、新たに出現したストーリーはパラレルに展開する

■殆どの場合、分岐やループで出現したストーリーラインは

単独にそれだけで成立するものではありません。それらは常に平行して展開する他のストーリーラインと影響しあいます。(そうではない場合もあります)
以前、ザッピングと言う形式のドラマが話題になったことがあります。同じストーリーを別の登場人物の視点から描き、チャンネルを切り替えることで同じストーリーの別の局面を観ることができる、というのがザッピングです。ゲームのストーリーは、常にこのザッピング要素を含んでいるということができるでしょう。



ゲームのシナリオは上記した要素が絡み合うことで展開します。一本の線のストーリーが何本も、ある時はからみ合ったり、ある時は解けて離れながら、まるで網の目のように広がって展開していく……それがゲームのストーリーであり、そのシナリオを考える時に、常に意識すべき要素と言うことができるでしょう。
なんだか、ややこしい話だと思われたでしょうか?



でも大丈夫です。
全体を見渡そうとすれば、確かに複雑な構造になりがちなゲームのシナリオですが(実際、複雑になりすぎて未整理な状態のシナリオをスパゲッティと呼んだりすることもあります)、最初にお話ししました通り、一本一本のストーリーラインの構造は小説や映画と変わりありません。まず大切なのは、小説や映画のストーリー構築と同じ基本を学ぶところから始めることなのです。
次回はゲームシナリオを制作するのに必要な技術やスキルのお話です。

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