シナリオ・時間経過|20枚シナリオの書き方事講座

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時間経過

■例えば、ある昼下がりの公園のシーンを描いてから

次に翌日、昼下がりの公園シーンを続けて描きたい場合、皆さんならどのように描くでしょうか?
舞台ならば暗転にするなどの方法が考えられますが、映像では暗転も幕もありません。
昼の公園のシーンから翌日の昼の公園のシーンまで時間経過させたい場合、2つのシーンをそのまま続けては、連続した同じ時間に見えてしまいます。
そこで、映像には映像ならではの時間経過を表す方法があるのです。



@タイトル法

これは直ぐに誰でも使えます。字幕で、「翌日」と映像に表示させれば良いのです。
こう書けば例えは10年だろうが、100年だろうが、そうなんだなと観客は納得せざるを得ません。しかし、あまりにも楽な手法ですし、情緒もへったくれもあったものではありません。ですから、他に方法はないかなと作家は工夫するのです。
はっきりと簡潔に時間経過を表せるので、実録モノや時代モノなどではよく使いますが、ホームドラマなどではほぼ見掛けませんね。
ちなみに、タイトル法は、

T「西暦1953年 浦賀」

とか

T「10日後」

というような表記になります。



A小道具法

タイトル法の発展型です。文字の代わりに小道具を使用します。
日めくりカレンダーがめくられたり、時計の時刻が変わったりすることで時間の経過を表す方法です。これも最近ではあまり使われませんね。現在では、あまりにも典型的な表現方法となってしまいました。
もう少し変わったものでは、花瓶の花が枯れたり、軒先の木に実が成ったり、桜の花が散ったり、とどれも少々ありきたりですが、さり気なく使う場合があってもいいでしょう。
家の外灯が灯るシーンにはさみ込むことでも時間の経過は描けます。他にも考えてみれば小道具を使った素敵な時間経過の表現法がみつかるかもしれませんね。



B記号法

最近で殆ど見かけませんが、こういうのもあるという意味で紹介しておきます。

★O・L(オーバー・ラップ)

(O・L)という記号を書き、時間経過を表す方法です。
例として朝からたっぷり5時間サッカーの練習をやり、へとへとになったという場面を描くとします・
練習開始と練習終了後の光景をそのまま繋ぐと意味が分からないシーンになりますが、この2つのシーンを映像処理をして重ね合わせることで、「ああ、時間が経ったのだな」とわからせる手法です。



★F・I(フェード・イン)、F・O(フェード・アウト)

これも同じく(F・I)、(F・O)という記号を書いて、時間経過を表す方法です。
例えば、ある男が酒を飲んでいるシーンを描くとします。
満タンの酒瓶の映像がいったん暗くなり(F・O)、明るくなって(F・I)空になっているシーンを繋がれていると酒瓶一本が飲み干すほどの時間が経ったことがわかりますよね。
最近では、演出に踏み込んだこれらの記号法はあまり見かけなくなりました。
他にもあるのですが、ここではこれくらいにしておきます。



Cインサート法

これは、シーンとシーンの間に別のシーンを挟むことで時間の経過を表す方法です。
例えば、刑事モノで捜査会議のシーンの次に走る車のシーンを挟みます。すると次のシーンで刑事が捜査しているシーンでは、もう到着するだけの時間が経過したのだとはっきりとわかりますね。
同様に、シーンの間に街のネオンのシーンを挟めば夜になったことを表せます。



Dしりとり法

これは、登場人物のセリフを上手く使った時間経過の表現方法です。
少年たちが学校帰りに、「明日の3時に裏山の秘密基地で集合だ!」と言って別れたとします。次のシーンでぞくそくと少年たちが山の中の洞穴に集まって来るシーンが始まると、もう翌日の3時になったことがわかりますよね。



Eカットバック法

理論としてはインサート法に近い、時間経過の表現方法です。
例として、あの有名な宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘のシーンを書くことにしましょう。
万が一、知らない人のために簡単に説明しておきますね。
『1612年、二刀流の使い手の宮本武蔵は、燕返しの名手佐々木小次郎と決闘を行なうことになりました。武蔵は、わざと約束の時間に遅刻して小次郎の冷静さを失わせました。武蔵は、その隙を突いて小次郎を破りました』概ねこのような逸話です。



小次郎は、決闘の場所となる船島で延々と武蔵の到着を待つ羽目になるのですが、これをずっと撮っていてはそれこそ小次郎が待つ時間だけで二時間映画があっという間に終わってしまいますよね。
そこで、緊張した様子で武蔵を待つ小次郎を描いた次のシーンで、武蔵が船にも乗らず呑気にまんじゅうを食いながら浜で釣竿を垂れているシーンを描き、次のシーンで小次郎が「ええい、あのうつけ者が!」とでも言わせておけば、何時間か時間が経過したことがわかりますよね。
このように2つの場面を時間的に切り返す技術「カットバック」を利用することで時間を飛躍させることが出来ます。カットバックは、実際にシナリオを書く上でも欠かせない技術ですからぜひ覚えておいて下さい。カットバックでの時間の飛躍は、シナリオに小気味良いテンポを生み出します。

 

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