シナリオ・構想の基礎|20枚シナリオの書き方事講座

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構成の基礎

■様々な構成法

頭の中だけで構成してまとめられるのはせいぜいペラ20枚くらいのシナリオまでです。
一時間モノや二時間モノを書く場合には、それ相応の時間をかけた構成作業が必要です。
ただし、この構成という作業には正解がありません。様々な方が多くの理論を語られており、それぞれの理論で立派な作品を書かれているのですから、どれが正解でどれが不正解とは言えないでしょう。



日本の場合は、「起承転結」の四部構成の考え方が長い間主流となってきました。近年では、アメリカの脚本家で脚本コンサルタントでもあるシド・フィールド氏が提唱するハリウッド式の「三幕構成」が脚光を浴びていますし、能の大家世阿弥は古くから「序破急」という構成法を提唱していました。



書店でシナリオの入門書を取ってもみても、構成には様々な解釈があることに気付かされます。しかし、どんな物語も「起」に始まり、「結」で終わることに違いはありません。そして、物語が最高潮に盛り上がるクライマックスが「転」であり、そこまで面白く話を繋ぐ部分が「承」なのです。
解釈の仕方に多少の違いはありますが、皆さんは迷うことなく起承転結という考え方で書き始めて間違いはありません。実際には、どの構成法もその差は微々たるものだと私は考えています。もちろん、お時間が許せば、様々な本で学んで頂ければと思いますが、書いていく中で一番自分にあったやり方というものがみつかるものです。



要は、クライマックスに向けてどのようにすれば一番話を盛り上げられるのかアイデイを練るのが構成の一番大事なところです。
シナリオの場合は、まず“大箱”という小説では見かけない独特な構成表を使って構成を練るのが古くから日本で行われているやり方です。

大箱(オオバコ)

それでは、実際に大箱の構成表をご覧頂きましょう。

下の表(大箱)は、二時間弱のシナリオを書くことを前提にしたものです。
起@、起A、承@〜D、転@、転A、結というように全体を10個のハコで割っています。
そして、それぞれに原稿の枚数のメドを割り振り振っています。
その箱の中一つ一つに何を描くのかを考えて書き込んでいくのです。こうしておけば、だらだらと導入部が続くことはありませんし、全体のどこで何を描けば物語が盛り上がるのか考えやすくなります。
ノートに順を追って、ストーリーのアイデアを書いて頂いても構わないのですが、こうして大まかに一枚の紙の中で書き込むことで、全体の流れを視覚で捉えることが出来ます。



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この表は、新井一さんの『シナリオの基礎技術(ダヴィッド社)』や、映画『武士の家計簿』をヒットさせた柏田道夫さんの『シナリオの書き方(映人社)』にも紹介されていますが、他の書籍でもだいたいこれと同じ形をしています。
私の知っている、ある映画監督は模造紙に思いついたストーリー案を書き込み、部屋の壁に貼って構成を練るそうです。もし、順番を入れ替えるなら貼り替えればいいわけですし、要らないシーンだと判断すれば、それを捨ててしまえばいいのですから理にかなっていますよね。大箱の発展型です。
ちなみに私は、エクセルで作った大箱表をA3サイズに拡大コピーして使っています。
とにかく、紙一枚で全体の流れが把握出来ると言う面ではとても便利なのです。
この大箱をさらに一つ一つ構成する作業を中箱、小箱と呼びますが、それはノートに箇条書きに書いて頂いても良いでしょう。

ログラインを決めよう!

おおまなかストーリーラインがあっても、大箱を書いていくうちに何が書きたいのかはっきりしなくなることがあると思います。




優れた作品のプロット(あらすじ)は、一言で言い表しても面白いものです。



アメリカでは、この一行ストーリーのことを“ログライン”と呼びます。
日本でも同様に三行ストーリーを面白く書ければ良いシナリオが書けると言われています。
描きたいストーリーを1〜3行程度で書いた時、「観たい!」と思わせられた最初の勝負には勝ったのも同然です。映画のチラシやDVDのパッケージであれ、写真と共にこのログラインに客は興味を持つのですからね。
一言で表した時、「あれ? 観たことあるなぁ」「ひょっとして、つまらないかも?」と思われたなら再考した方が良いかも知れません。まずは、面白いログラインを書くことが面白い作品を書く出発点なのです。



[大ヒット作のログライン例]

映画『ハリー・ポッターと賢者の石』

惨めな生活を送る少年が魔法学校に入学し、悪から世界を守るために奮闘する物語。



 

映画『スタンド・バイ・ミー』

ある田舎町に暮らす三人の少年が街の英雄になろうと死体探しの旅に出る物語。



 

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

平凡な高校生が車型タイムマシンに乗って過去に行き、両親のキューピット役になる物語。

<補足> ブレイク・スナイダーの提唱する構成用テンプレート

「起承転結で考えろ」と言っておきながら一つ興味深い構成法をご紹介しておきます。
米Amazon脚本術部門で売上No.1のベストセラー『SAVE THE CAT !』の著書、ブレイク・スナイダーがその著書の中で紹介しているシナリオ構成するためのオリジナルテンプレート「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」です。
彼は、作品の構成を練る際に白い紙に以下の15の要素を必ず1,2行書きこむそうです。



1、 オープニング・イメージ(作品全体のスタイル・雰囲気)

2、 テーマの提示(脚本家の論点や主張)

3、 セットアップ(作品の導入部。メインキャラの紹介)

4、 きっかけ(何かが起こる最高の瞬間)

5、 悩みの時(主人公が何かしらの疑問を抱く)

6、 第一ターニング・ポイント(主人公が明確な意志をもって次の段階に進む)

7、 サブプロット(ちょっとした場面転換・息抜き)

8、 お楽しみ(観客に対してお約束を果たす場)

9、 ミッド・ポイント(主人公が絶好調になる)

10、 迫り来る悪い奴ら(悪い奴らがパワーアップして再びやって来る)

11、 すべて失って(絶不調・死の気配)

12、 心の暗闇(悟りのシーン)

13、 第二ターニング・ポイント(主人公が解決策を見出す)

14、 フィナーレ(結末。主人公の勝利)

15、 ファイナル・イメージ(本物の変化を見せる場)



これだけでは、少しわかりづらいのですが、ストーリーラインのどこでどんなことを描けばいいのか参考になりますね。確かにこれを全て埋めてしまえばストーリー全体のうねりがはっきりと見えてきます。しかも、ワクワクする話になりそうですね。
とは言え、これもまた起承転結の考えの発展型であるといってもよいでしょう。

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