メタシナリオとバイオショック|20枚シナリオの書き方事講座

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第20回:”ゲームシステムを逆手に取ったメタシナリオ(バイオショック他)”

■ゲームをプレイしていて、『やらされてる感』を覚えたことはありませんか?

例えばRPGをプレイしている時、こんな事が良くあります。
街に入りたいが、魔物の結界のせいで入れない。街の外にいる魔導師から、近くの洞窟にある薬を持ってくればそれを使って結界を解いてあげようと言われる。洞窟に行ってみると中が崩れていて先に進めない。そこにいた力持ちのオーガに、草原に棲むマンモスの肉を持ってくれば崩れた岩をどけてやろうと言われて草原に……。
これはプレイヤーに対し、ゲームの進行を管理するための『フラグ』を立てさせるために、シナリオ上でしばしば安易に用いられる手法のひとつです。『お使いイベント』と言ったりもしますね。



ゲームには、それがゲームである以上どうしても回避できない制約が必ずあります。ロールプレイングゲームの場合はゲームの進行度を管理し、プレイヤーが進入できるフィールドや出現するモンスターの難易度を最適条件に保つたなければいけない、という制約のために、この『お使いイベント』が使われる、というわけです。
実を言ってしまえば、ゲームにおけるシナリオやイベントの管理は基本的にはこの『お使いイベント』と同じなのです。ただ、露骨にフラグ立てをそれと分からせる形で繰り返すことは、プレイヤーにゲームに対して『やらされている感』を感じさせ、ストレスの要因になるので、シナリオ上では、できるだけそれを『お使い』と感じさせない工夫が必要になる、というわけです。



■ただ、これはプレイヤーもある程度理解の上で

ゲームをしているという一面があるのも事実です。NPCに”お使い”を依頼されても『まあ、ゲームだし、仕方ない』と割りきってプレイを続けるようなことは、決して珍しくはないはずです。
ゲームのシステム管理における制約と、それをゲームの”お約束”として妥協するプレイヤーとの間には、一種の馴れ合いとも言える関係が成立しているのかもしません。



実は、このゲームをプレイするに際してどうしても回避することのできない関係性を逆手に取り、ストーリー上の大きなどんでん返しの伏線として利用したのが、FPS(ファーストパーソンシューティング)の名作『バイオショック』です。
プレイをしたことのある方は、”あのシーン”で見せつけられた想像を遥かに超える伏線回収とどんでん返しに、驚愕の思いを抱かれたのではないでしょうか?

まさか、ゲームだから当然と思っていた

■あんな事が、ストーリーにおいて、そんな伏線になっていたなんで……

筆者は本当にビックリさせられ、そしてこのタイトルの製作者に喝采を贈りたい気持ちになったものです。
内容の詳細についてはネタバレになってしまうのでここでは伏せておきたいと思いますが、これからプレイをしてみようと思われる方は、作中、主人公に対して他のキャラから発せられる頼み事の、『恐縮だが、○○してくれないか?(Would you kindly〜?)』というセリフを気に留めながら遊んでみてください。それがどんな頼み事で誰が発しているか……を。



実は前回紹介した『ジルオール』もまた、このような”ゲームのお約束”をうまくシナリオに活かした事例のひとつです。
RPGのプレイヤーには、ゲームのストーリーや進行とは無関係に、とにかくキャラのレベルを上げようとする傾向がありますが、この『ジルオール』では、そんな『ゲームをクリアする為には必要のない』レベルアップを、うまくシナリオ上で生かした、ある展開がクライマックスに待っています。

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