ゲームシナリオライターという職業はない|20枚シナリオの書き方事講

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第1回:”ゲームシナリオライターという職業はない?”

■”ゲームシナリオライター”という言葉を聞いたことがあると思います。

今、あなたがここをご覧になっているということは、恐らくゲームシナリオライターという仕事に興味を持たれたからに違いないですよね?


「ゲームのシナリオって小説や映画のシナリオとどこが違うんだろう?」

「ゲームのシナリオだから、プログラムやSEの技術が必要なのかな?」

「決まった書式とか、ルールはあるのかな?」

……等など、いろんな疑問をお持ちかもしれません。
当コーナーでは、ゲームにおけるシナリオのあり方について、その概要や特徴を紹介しながら、皆さんの疑問にお応えしていければいいな、と考えています。



さて、講座開始早々、いきなりですが、身も蓋もない結論から申し上げてしまいましょう。




ゲームの制作現場に『ゲームシナリオライター』……という職業はありません。



……こいつは、いきなり何を言っているんだ?
ここはゲームシナリオ講座なんだろ?
ゲームのシナリオライターを募集している求人広告、見たことあるんだけど?
もしかして、そう思われたのではありませんか?
はい、確かにその通りです。
ゲームにシナリオと呼ばれるものは存在するし、それを書き起こす役割の人も確かにいます。
コンピュータゲームの黎明期のテニスゲームや昭和の時代に大流行したインベーダーゲームの頃はいざ知らず、近年のコンピューターゲームはその殆どに何らかのストーリー性があり、登場人物やキャラクターがいてアクションしたりセリフをしゃべったりします。
一定のストーリー性があって登場人物の行動やセリフを描くものをシナリオと定義するなら、ほぼすべてのゲームにシナリオがあると言って良いでしょう。



しかし……ここが映画などのシナリオとの最大の違いなのですが……ゲームのシナリオには、決まったフォーマットやすべてに共通する約束事、というものは存在しないのです。

映画の制作を考えてみましょう。

■映画の場合、先に脚本があって

監督がその脚本に沿ってそれぞれのシーンをどう演出するかを考え、俳優が脚本に沿って演技を行い、セリフをしゃべります。
撮影を行うカメラマンや、音響効果、BGMをつくる作曲家など、映画の中身は違えどもその撮影のフォーマット自体ははどんな作品であっても常に一定であり、各セクションの分業体制もシステマティックに決定されています。
比較してゲームの場合はどうでしょうか?
ゲームと呼ばれるジャンルのソフトウェアが、数多くのジャンルに細分化されていることは、皆さんも御存知のことでしょう。アクションやシューティング、シミュレーション、ロールプレイング、アドベンチャーやノベル、そしてパズルに至るまで、さまざまなジャンルのゲームが存在しそれらはすべて独自のゲームシステムを有しています。システムが違えば当然制作に必要な人員やその構成も変化します。



それぞれ違うジャンルのゲームにおいては、キャラクターの扱い方もまったく違うものとなり、ストーリーの見せ方も変わってきます。結果的にシナリオに要求される内容や情報量もまた、まったく異なるものになってしまうのです。
要求されるものがジャンルによってまったく違う以上、ゲームには共通されたフォーマットのシナリオというものは存在しませんし、つまり、そのシナリオ制作に特化したシナリオライターという役割もまた、基本的には存在しないことになるわけです。
(例外的にシナリオライターという役割が他の制作セクションとは明確に分離されて扱われるジャンルも存在しています。ノベルやアドベンチャーと呼ばれるジャンルがそれに該当しますが、このことについては、後で改めて詳しくご説明します)



■ただし、これはあくまでゲームの制作システム上におけるシナリオの特性に過ぎません。

前述した通り、およそ現在、ストーリー性のまったくないゲームソフトは殆ど存在していません。それがある以上、そこには(小説や映画と同じように)シナリオに該当するものは確かに存在し、それを”書ける”=”構築できる”人材もまた、必要とされるのです。

次回は、ゲームにおける”シナリオ”の役割と、それを構築するために求められる視点について、ご説明致します。

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