シナリオ・「承」の書き方|20枚シナリオの書き方事講座

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■起を「導入部」と呼ぶならば、承は「展開部」といえます。

実際のところ、シナリオ全体の約8割がこの承で占められているわけですから、脚本そのもの面白さはここにかかっていると言っても過言ではありません。承は、起から転へのつなぎ役です。ワクワクさせたり驚かせたり、うっとりさせたりしながら、クライマックスへ導く部分です。
上ったり下ったりを繰り返しながら、最後のクライマックスへと登りつめていく様は、遊園地のジェットコースターみたいですね。



■葛藤(ストラッグル)を最大限に活かそう!

ジェットコースターで例えるならば、上昇と下降をいかにバランスよく配置するのかが承のポイントです。平坦な場所を真っ直ぐ走るジェットコースターほど、退屈なものはありませんね。息もつかせぬスピードで下降したり、予測不能な回転をしてみせたり、緩やかなカーブで安心させておきながら迫力あるクライマックスへ繋いでいかなくては、お客さんは満足してくれません。
承を面白く描くには、主人公の動機と目的をはっきりさせておく必要があります
貧困にあえぐ人々を無報酬で治療に当たる医師にも、メジャリーガーを夢見て高校を中退して海を渡る若者にもそれぞれ動機と目的がはっきりある筈です。
そして、目的に向かって歩む主人公にカセを与え、様々な葛藤を描きましょう。この主人公の葛藤に観客(視聴者)は共感し胸を熱くさせるのです。このストラッグルを最大限に活かすことが承を面白く描くコツです。



■では、葛藤とはどのようなものでしょうか?

ディズニーの名作アニメ『美女と野獣』を思い出して下さい。主人公の少女ベルは、しがない発明家の父を野獣に囚われ、単身野獣の住む恐ろしい屋敷に乗り込みます。ベルは、身を切るような思いで自分が父の身代わりとなって父を解放させます。
一方で、醜い姿の野獣は元の王子の姿に戻るために、ベルから心から愛されなければなりません。しかし、もう一刻の猶予もありません。ところが、ベルを愛し始めた野獣は思い悩んだ挙句に王子の姿に戻ることを諦め、父の窮状を訴えるベルを解放してやります。
このように登場人物の目的や願望を遮る、事件、事故、障害等を前にして湧き起こる感情を葛藤といいます
葛藤により登場人物の心を揺らせば揺らすほど作品は面白くなっていきます。

カセ(枷)とは何だろう?

カセとは、刑具の一つで首や足を縛り付けるものです。手枷足枷という表現をよく聞きますがあのカセのことですね。主人公の行く手を邪魔する宿命的なモノを指します。
主人公にカセをはめることで、物語に緊張感が生まれ、ドラマを引き締める効果があります。カセには以下のような種類があります。



■[カセの種類]

@時間的なもの(例:爆発まで3時間、余命1ヶ月)

A秘密性を持つもの(例:実父は殺人者である、夫には内緒で浮気をしている)

B場所(例:堅固な監獄で抜け出せない、雪深い別荘で外部と連絡が取れない)

C人間関係(例:親子、教師と生徒、医者と患者、敵と味方)

D内心(例:〜してはいけないという感情、〜せねばならないという感情)

E誤解(例:失われた信頼)

F社会的なつながりのあるもの(例:宗教、法律)

G約束や掟(例:むらの掟、遺言)

H物に関するもの(例:災いを招くもの、貴重品)

I状況的なもの(例:火事、長雨、戦時下)

J目には見えないもの(例:予言、噂)>br />
K肉体的なもの(例:片腕がない、不眠)

Lその他(例:コンプレックス、学問上のカセ)



『美女と野獣』で言えば、野獣には、“魔法のバラの花びらが全て散るまでに真実の愛をみつけなければならない”という時間的なカセがはめられていましたね。アメリカのドラマ『24』では、“あと数時間で爆発する”とか“いかなる時も大統領を守らねばならない”というカセが上手く機能していました。

サスペンス性を持たせよう!

恋愛ドラマでもアクション映画でも

例えコメディであってもその作品にサスペンス性を持たせることでグッと作品は魅力的になります。
サスペンスとは「不安・緊張」を意味します。ドラマを盛り上げるために必要不可欠なのが、このサスペンス性です。主人公をピンチに追い込んで観客をハラハラさせるのです。
恋愛ドラマの場合ならこんな例が考えられます。



花子の家に、付き合って三ヶ月目の彼氏が初めて遊びに来ることになった。
花子は、彼氏に良いところを見せようと慣れない手料理を必死に作って彼が来るのを待っていた。ところが、そんな日に限って田舎から兄妹同然に育った幼なじみの二郎が遊びにやってくる。久々に再会した二郎を邪険にして追いだそうとする花子。だが、気付くと二郎は花子の手料理を平らげていた。そうしている間に彼氏がやってくる。花子は二郎をベランダに追いやると、慌てて玄関に駆け出した。
さあ、どうなる。花子さんピンチです。ハラハラしますね。果たして彼氏にみつかってしまうのか、みつかったら彼女は何て言い訳するのだろう、と。



承では、この様に主人公を何度も追い込んでは助けてやることを繰り返しながら、観客をハラハラさせてはホッとさせて、主人公に引きつけていくと効果的です。

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