シナリオ・ストーリー発想法|20枚シナリオの書き方事講座

お気に入りへのご登録はお済ですか? ⇒ 

ストーリーの発想方法

■今回からはいよいよ実作段階に移行します。

 

ほとんどのシナリオスクールで、最初に書くことになるのがペラ20枚という短編シナリオです。この20枚は、起承転結のあるシナリオの最小単位と言われていますから、これが上手く書けるようになればコンクールに出す120枚程度のものも、240ページにわたる2時間映画のシナリオも書けるようになります。
皆さんも、まずは20枚シナリオが書けるようになりましょう。
でも、いざ作品を書けと言われても何から書いていいかわからない方が多いかも知れません。普段から書きたいネタをストックしている方でなければ、急に書けと言われも難しいのは当然です。
ここでは、創作の心構えと物語を発想するための発想法についてアドバイスさせて頂きたいと思います。書きたい気持ちだけがはやって、思い悩む方は非常に多いと思いますので、ぜひ参考にして下さい。



■人を楽しませるために書こう!

皆さんには、それぞれきっと書きたいものが沢山あることでしょう。
具体的に起承転結のあるお話でなくても、“どこにでもいる平凡な主婦が危険な恋に陥る話”とか、“破天荒な元刑事が組織の巨悪と対決する話”のように、なんとなくのイメージは持っているかと思います。
初めて作品を書こうという皆さんに細々と言うつもりはありませんが、“書くからには絶対に人を楽しませるんだ”という強い気概を持って原稿に向かって下さい。



ここでいう楽しい作品とは、愉快という意味ではありません。驚きや感動、哀しみや喜びなどが、ひしひしと観る人の心に届く作品を指しています。
中には、自分が書きたいものさえが書ければそれでいい、という方もいらっしゃるでしょう。でも、人を楽しませてこそシナリオは価値があるのです。人の住めない家に価値が無いのと同じです。シナリオは、書き終えればそれ自体が作品となる小説と違い、映像化を前提に書くものです。皆さんのシナリオを元に、何千万、何億という金をかけて大勢の人で創り上げるのが映画(ドラマ)なのです。独りよがりなシナリオは、いつまでたっても陽の目をみることはありません。



『ALWAYS三丁目の夕日』などの大ヒット作を書かれているシナリオライター、古沢良太さんは、『ゼロからか学ぶ脚本術(誠文堂新光社)』の中で、「最初はね、シンプルな話を書いたほうがいいと思いますよ。王道をきちっとやることになるのでそれが最強だと思う」と述べられています。さらに、「大衆に受けることを考えよう。なぜなら金になりそうもない脚本は実現しないのだから」と、いうようなことを仰っています。
これは、私も大賛成です。



■ですから、皆さんが物語を発想する場合も

まずは自分が書きたいものと、人を楽しませられるもの、この両方を兼ね備えたものを考えて頂きたいのです。
人を楽しませるという意識を強く持てば、必ずシナリオも面白いものになっていきます。
プロの場合は、必ずしも自分の書きたい題材ばかりではありません。しかし、それをいかかに書きたいもの近付けていくかがそのシナリオライターの技量であり、度量になってくるのです。

発想の出発点

ストーリーを発想するためには、何から考えればいいのでしょうか?
出発点は大きく3つに分けられます。



@テーマから

描きたいテーマをみつけ、そこから物語を考えていくという発想方法があります。
では、テーマとは何でしょうか?
例えば戦争映画を書くとします。初心者はよく「平和をテーマに書きました」と言いますが、これだけではテーマとは呼べません。同様に愛、友情、別れなどもそうです。愛がどうなんだ、友情が何なんだ、ということがテーマなのです。
テーマとは、その作品の中で訴えかけるメッセージであり、作品の具体的な方向性を指します。また、平和の尊さを描く上でも様々なテーマが考えられます。



例えば、

・どんな状況下にあっても希望さえあれば人は生きていける。

・戦争がもたらす人間の狂気は、残酷で恐ろしい。

このようなものもテーマと言えるものです。



テーマを明確にしておかなければ、書いている途中で作品の方向性がぶれてしまいます。しかし、このテーマだけに縛られて説教臭い話を書いてしまうとひんしゅくを買うことになるでしょう。著名なプロデューサーでも、テーマから入ることを嫌う方もいらっしゃいます。「テーマは、後からついてくるものだ」という考えもあることを知っておいて下さい。



Aモチーフから

モチーフとは、元々はフランス語で“創作の動機となる主要な思想や題材”を意味します。シナリオにおいて、さらに具体的に言うと、時代や社会情勢(シチュエーション)、登場人物(キャラクター)などの設定を意味します。
同じ戦争映画でも、戦国時代の足軽を主人公にして描くのと、未来の宇宙戦争のパイロットを主人公にするのでは大きな違いがありますよね。
基本的に作品にはテーマがあり、そのテーマにもっとも相応しいモチーフを考えるという流れになります。しかし、何よりも先にパッと面白い舞台設定が思いつく場合もあります。
そこからアイデアを広げていっても全く問題ありませんし、そういう発想の方が得意な方もいらっしゃるでしょう。



B素材から

素材からアイデアを広げていく方法もあります。例えば、“自分の経験”や“人から聞いた話”、“新聞などの記事”、“歴史的な出来事”などがそれにあたります。
自分の母の死を元にホームドラマが思い浮かんだり、実際にあった事件から猟奇的な殺人事件を追うサスペンスドラマを思いついたりする人もいるでしょう。
素材は、どこにでも転がっていますが、それがいい素材なのか平凡な素材なのかはその人の眼力にかかっています。また一見平凡に見える素材もその事実の裏側を想像力豊かに広げていっても良いでしょう。
素材から発想した場合でも、それをどのようなテーマで描くかはっきりと決めて下さいね。それが、何が言いたい作品なのか、ぶれずに最後まで書くためのコツなのです。

おすすめの書籍とサイトはこちら