シナリオ・「転と結」の書き方|20枚シナリオの書き方事講座

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転と結

■転について

ここが物語の最高到達地点です。作品の最大の見せ場です。承を通し主人公が様々なカセを乗り越え、葛藤してきたのはここに辿り着くために長い道のりだったのです。
この転の機能は、「テーマを観客に訴える」ということです。これはセリフで伝えるものではありません。映像を通してジーンと感じて貰うのが理想です。
例えば平和の大切さをテーマに描いた戦争映画ならば、クライマックスシーンで「やはり平和が一番大事だわね」と言われても「そりゃそうだね」という感想が帰ってきそうです。



それよりも恋人の帰還を待ち続けた少女が、恋人の帰国の噂を耳にして彼の家を訪ねると彼の遺骨が部屋の隅にポツン置いてあることに気付く、その無言のシーンの方が何倍も平和への想いを強くしてくれるでしょう。
承が上手くいっていないと、少女が遺骨を見て打ち震えていても観客は可哀想な女の子だなぁという風に見えるだけです。観客が一緒になって、ハンカチを握りしめ、もう二度と戦争はだけはイヤだと思わせてこそ本物の感動があるわけですね。



そうするためには、承が非常に大切になってきます。主人公の身にこれでもかこれでもかという災難が襲い、それでも必死に生きる様を描いておく必要があるのです。
この戦争が終わればまた恋人に会える、ただそれだけを希望に、彼女が試練に耐えるシーンをしっかりと描いておけば、彼女の無念さは何倍にも増すことでしょう。




何度も言いますが、転は最大の見せ場です。



彼女はこれまで非常に大変な思いをして生きてきましたが、ここではさらに主人公(少女)を必死にさせる必要があります。
「恋人に再び会いたい」少女はこの想いを胸に、田舎の奉公先から裸足で飛び出し、歩いて東京までやってくる、というのはどうでしょうか?
その結果が、恋人の無残な死であれば……。
そこまで彼女を追いやらなくてもいいじゃない、意地悪ね。という意見もあるかもしれません。ですが、そうすることで、より彼女の無念さは深まります。
彼女が無事に恋人と再会して「もう、私たちはずっと一緒ね。ああ、平和って素敵!」などとテーマをセリフで言ってしまうより、ずっと感動的なシーンになりますよね。
転そのものより承の補足のようになりましたが、承の重要性を改めて感じて頂けたら嬉しいです。



■結について

結は、いよいよ作品のフィナーレです。
結の機能は、「テーマを定着」させることです。すでに転でテーマを強く訴えていますので、ここからクドクド描くことはありません。
観客に、「こういうことが言いたかったのね」と納得して貰えればそれで良いのです。
あとは、さらりと簡潔におしまいにしましょう。
先述の例をもう一度出すならば、老婆になったかつての少女が孫にその話を語って終わるくらいで丁度いいのです。



さらに、孫がその話をクラスで発表して、その担任の先生がかつての恋人の親族だったみたいな、長々としたエピローグにしてしまうと、ちょっと興ざめですね。先ほどの感動を返してくれって言いたくなります。
結はなるべき簡潔に! 心にとめておいて下さい。

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