シナリオ・ト書きの書き方|20枚シナリオの書き方事講座

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ト書きの書き方

■ト書きについて

ト書きは、もともとは歌舞伎用語です。歌舞伎の脚本では、古くから役者の動きや音楽を指定するために、“ト振り向いて”や“トやって来る”のように書かれていました。
映像シナリオにおけるト書きは、行の一番上から3マス空けて、人物の動作やそのシーンの状況を具体的に書き記します。
(※2マス空けの作家もいらっしゃいますが、3マスの方が読みやすいと思います)
ここで一つ注意して頂きたいのは、ト書きは常に現在の状況を書き記さなければならないという点です。



■ト書きはすべて現在形で書くのが鉄則です。

初心者のシナリオのト書きは、しばしば過去形で書かれていることがあります。
最初は、うっかり過去形で書いてしまいがちですが、あきらかなイージーミスなので読む人のテンションを下げかねませんので気をつけて下さい。



○正しい例

   太郎、懐からピストルを取り出す。

   腕が震え、銃口がさだまらない。



×間違った例

   太郎は、懐からピストルを取り出した。

   恐怖のあまり腕が震えて銃口がさだまらなかった。



お分かり頂けましたでしょうか?
過去は映像には映りません。書かなければならないのは「今」ですからね。

ト書きはどこまで詳しく書けばいいの?

■もう一つ、大事なことを説明しておきます。

ト書きをどこまで詳しく書かなければならないか、という点です。
この点は、初心者ならば必ず迷うことでしょう。
例として、太郎という主人公の青年が部屋にいるシーンを書くとします。
彼の部屋が汚いか綺麗かは、彼の気質を端的に表せますから書いた方が良いでしょう。
次に、壁に大きなカレンダーが貼ってあるとします。これは、どうでしょう?
この場合、太郎が何気なく貼った風景写真のものなら書かなくても良いでしょう。
しかし、彼がアイドルオタクで意中のアイドルの巨大カレンダーを貼っているのなら、彼がどんなタイプの男なのかそれだけで語ることが出来ます。
そういった場合は、ぜひ書いて下さい。
つまり、そのストーリーを物語る上で必要ならば書く、不必要なら書かないという的確な判断が必要になってくるのです。



■ 無駄なト書きを無くそう!

無駄なト書きは、シナリオのテンポを悪くさせるだけでなく、そこに無駄な意味を発生させてしまいます。上記の例で言うと、風景写真のカレンダーというト書きを書いた場合、撮影する側はそれを撮ることになります。スタッフは、風景写真のカレンダーを用意し、カメラマンはそれを撮ります。
すると、映像にした時に、太郎は美しい風景写真が好きな男、もしくはその風景に思い入れのある男というように見る側は受け取ることになります。
このような無駄な意味を発生させないためにも、“書く・書かない”の選択には気を付けましょう。



それでは、“何気なく耳を障る”という動作のト書きは必要だと思いますか?
一見、不必要なト書きに思えますが、場合によっては書いたほうが良い場合もあります。
“耳を触る”というのが、彼の困った時にみせる癖だとします。
後のシーンで頼まれごとをされ、笑顔で引き受けます。ところが、彼は耳を触っています。
そうすると、彼が笑顔を浮かべていても内心はいやいや引き受けているのがわかりますよね。
モノローグで「あーあ、本当はいやなんだけどなぁ」と言わせるよりも何倍も説得力があります。




これが、文学とは違う映像の力なのです。



このように“必要なト書き以外は書いてはいけない”ということを、ここではしっかりと覚えておいて下さい。
特に初心者は、思い浮かんだことを全て書こうとしてしまいがちです。
コップの色、カーテンの柄、服のブランド、細かい仕草など、思い浮かんだ映像をなかなか捨てられないんですよね。
でも、そこをグッとこらえて書くことでシナリオは上達していきます。

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