ループするシナリオの特徴|20枚シナリオの書き方事講

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第9回:”ループするシナリオの特徴”

■”ループもの”はもともとSFのジャンルのひとつであることを説明致しました。

何度も繰り返されるストーリーとは、言い換えれば何度も過去にさかのぼるストーリーでもあります。タイムマシンという小道具が、ループものというジャンルに使いやすかったと言うことでしょう。
しかし、ストーリーの上での循環は、何もSF的なギミックや小道具ができないわけではありません。本人の思い込みや夢の中での出来事、何者かがそう思わせていた……など、いかように創ることもできます。


”ループもの”を創るためにSFである必要はありません。同じ時間、同じ日常、同じ経験が繰り返すことをストーリーの構造に組み込めれば、ループものは成立する、というわけです。
その意味では、ゲームはマルチシナリオである時点で、すでに”ループもの”として成立しているとも言えるでしょう。身も蓋もない言い方をしてしまえば、マルチシナリオを創るだけで同時にそれは”ループもの”を創ることでもあるのです。

ただ、それでは小説や映画を反復して読んだり

■映画を繰り返し観ることと大差ありません。

ループものとしてのゲームには、当然それとは違う特徴を加えることが可能です。それは、周回プレイを行うことで生じるストーリーの変化や、過去のプレイにはなかった、新たな要素の出現です。
周回プレイを行うことで、以前のプレイにはなかった新たな展開や演出を観ることができる。それはプレイヤーに同じゲームを繰り返しプレイする強い動機付けになります。



そして、その変化や新たな要素は、プレイヤー自身の動機であると同時に、実はストーリーの中の登場人物たちにとっても、同じ出来事、同じ1日が繰り返すことに気づくきっかけ重要な動機付けとなる場合が多いのです。
ただし、これには注意をする必要があります。
”ループもの”はその構造の特徴からストーリーに矛盾が生じやすいというリスクもあるのです。



■本来、物語世界の登場人物は

自分たちが創造されたフィクションの中の存在であることを意識することはありません。登場人物にそのことを理解させる視点を与えてしまうと、物語自体の成立に支障をきたす可能性もあるからです。
物語世界の登場人物がその物語の枠を超え、自身らの物語を俯瞰する視点からの言動を行う、そのような技法を『メタフィクション』と呼びます。いわばフィクションの入れ子構造ですが、メタフィクションを導入することは、多重構造になったストーリーに矛盾を生じる恐れがあるため、慎重に行う必要があるでしょう。



テーブルトークRPGというテーブルゲームをプレイしたことのある方なら、理解しやすいかもしれません。
テーブルトークRPG(TRPG)はドラゴンクエスト等のRPGの原型となったもので、一般的にはゲームマスターと呼ばれる語り手の誘導でプレイヤーがストーリー上の登場人物を演じて遊ぶものです。
もし、TRPGの中に登場する(プレイヤー演じる)キャラクターが本来彼らが知りえないプレイヤーやマスターのことや、ゲーム自体のルールを知っている事として行動したら、どうなってしまうでしょうか。最悪、ゲームプレイそのものが成立しなくなる可能性もあるのです。



ストーリーがループしていることを、ストーリー自体の設定に導入し、キャラクターにその究明や脱出を目的とさせる”ループもの”は、ゲームのストーリーに意外性や深みを生み出す有効な技法になりえますが、同時にストーリーを破綻させてしまう危険性があることも理解しておく必要があります。

あくまでゲームのシナリオを”ループもの”とするのは

■技法のひとつでしかありません。

ストーリー上のキャラクターたちが(結果として)ループしていることを自覚しなくても、ストーリー自体は成立するのですから。
『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』の登場人物が自分たちの日常が繰り返していることに気づかなくても、ストーリーが成立するのと同じことです。
ゲームのループ性をストーリーに導入するかどうか、それはシナリオを構築するあなた自身が決定することなのです。
次回からは、実際にゲームシナリオを創るにあたっての作り方や考え方について、紹介していく予定です。

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